この記事を読むとわかること
- 「初日だし」という緩みの兆候を、朝のうちに検知することの重要性
- 緩みを検知したら、逆方向に負荷をかける設計で打ち消せるということ
- todoは「何をやるか」より「どの順番でやるか」の方が重要だということ
出張明け初日の朝、自分の中に小さな悪魔がいた
中国出張から戻って、今日が初めての出社日だった。デスクに座った瞬間、頭の中で小さな声がした。「今日は初日だし、まあゆっくり立ち上げればいいんじゃない?」
とても優しい声だった。悪意もないし、体を労わる正当な理由まで添えてくれている。親切ですらある。でもこの声、僕はだいたい信用していない。なぜなら、この声に従った日の自分が夕方に何を感じるかを、過去の自分が身をもって教えてくれているからだ。「今日、何も進まなかったな」という、あのじんわりした後味を。
たぶんこの声の正体は、善意の顔をした小さな悪魔だと思っている。
緩みリスクを、朝のうちに検知してみる
プロジェクトマネジメントの世界では、リスクは顕在化してから慌てて対処するよりも、予測して先回りする方がずっとコストが低い。当たり前の話だ。でもこれ、自分自身に対してはなぜか全然やらない人が多い(僕も含めて)。
「今日は緩みそうだ」という予感は、それ自体がけっこう貴重な情報だと思う。多くの人は無自覚に緩んで、夕方に「あれ、今日なんもしてなくない?」と気づく。でも朝の時点で「自分、今日は緩むリスク高いぞ」と言語化できれば、手の打ちようがある。
今日の僕がやってみたのは、その検知だった。「初日だし」という優しい声を、従うべき合図ではなく、むしろ打ち消しにかかるべき兆候として扱ってみた。言ってしまえば、自分の中の悪魔に「お前、今日は無視するからな」と宣言した感じだ。
逆張りで負荷をかけてみる
検知したあと、打ってみた手は我ながら単純だった。「今日のテーマは出し切る」と決めて、気持ち多めのtodoをリストに積み、「全部終わらせないと帰れない」という自分ルールを課した。
ポイントは、**緩みそうな日ほど、あえて逆方向に負荷をかける**ということ。緩みを感じているときに軽いtodoを積むと、それはただの「緩みの追認」でしかない。「うん、今日はゆっくりでいいよね」と自分に言い聞かせる儀式になってしまう。そうではなく、緩みの気配を感じた瞬間に、いつもより少し重い負荷を設定してみる。これで緩みのベクトルが相殺される、というのが今日試してみた仮説だ。
この「逆張り」は、意志力で戦うのとはたぶん違う。意志力で「頑張るぞ!」とやるのは、緩みに真正面から殴りかかる消耗戦で、正直あまり勝ち目がない(僕はだいたい負ける)。そうではなく、朝のうちにルールを決めてしまえば、昼の自分はそのルールに従うだけでいい。昼の自分は基本的に朝の自分より頭が悪いので、考える余地を残さないのがコツだと思っている。
でも、本当に効いたのは別のところだった気がする
多めのtodoと、やり切らないと帰れないルール。この二つが効いたのは間違いない。でも一日終えて振り返ってみると、本当に効いたのはもう一つ別の要素だったんじゃないかと思っている。
それは、todoを積むときに、どの順番でやるかまで朝のうちに決めたこと。
todoリストは、書いた瞬間にはまだ半分しか完成していないと最近思う。残りの半分は、どの順番で手をつけるかで決まる。順番が決まっていないtodoリストは、一つ終わるたびに「次どれやろうかな……」という判断が発生する。この判断、一回一回は数秒の話なんだけど、それが10回20回と重なっていくと、地味にエネルギーを持っていかれる。しかもこの判断のタイミングで、さっきの小さな悪魔がまた登場してくる。「この重いやつ、後回しでよくない?」と。悪魔はとにかく登場機会を虎視眈々と狙っている。
今日の僕は、朝の時点で「このtodoを、この順番でやる」と決めてしまった。結果、午前中から迷いなく手が動いた。ペースが早いうちに作れると、「このペースなら全部終わるな」という見通しが立って、その見通しがさらにペースを加速させる。ちょっとした正のフィードバックループが回り始めた感覚があった。
逆に言えば、多めのtodoを積んでも、順番が決まっていなかったら今日の結果にはなっていなかったと思う。順番設計は、多めtodoと締め切りルールという二つの仕掛けを実際に機能させるための、見えない土台だった。
自分という1人プロジェクトに、リスク対策を打ってみる
今日の学びをざっくりまとめるとこうなる。
朝、自分の中に「初日だし」という緩みの兆候(という名の小さな悪魔)を検知した。その声を、従うべき合図ではなく、打ち消すべきリスクとして扱ってみた。対策として、多めのtodoと締め切りルールを課した。そして、それらを機能させるために、todoの順番まで朝のうちに決めてしまった。
これ、やっていることは仕事で当たり前にやっているリスクマネジメントと全く同じだ。リスクを特定して、対策を設計して、実行する。仕事ではあんなに丁寧にやるのに、自分自身に対してはなぜかノーガードで臨みがちなのは、少し不思議な話ではある。
「初日だし」という声は、これからも何度も聞こえてくるはずだ。出張明け、連休明け、重いプロジェクトを終えた翌日、金曜日、なんなら火曜日にも聞こえてくるかもしれない。そのたびに、検知して、逆張りで打ち消していけるか、しばらく試してみようと思う。意志力ではなく、設計で。悪魔と正面から殴り合うのではなく、悪魔が登場する前に舞台ごと片付けておく、という方針で。
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